3.香水の匂いが香るレッスン室(大学時代)


 なかなか大変な中学・高校生時代でしたね。
 中学生から親元を離れての音楽生活は、さぞつらかったと思います。

 音楽大学に入ってからは、それまでの厳しいレッスンの重圧から解き放たれ、音楽を楽しむ事が出来るようになりました。
 ピアノの先生は1、2、4年に松本玲子先生(現:芝 玲子)
 3年には吉村民先生に師事しました。

 芝先生は当時、パリ音楽院を一番で卒業され帰国したばかりの若くてお綺麗な先生。
 最初にレッスン室に入った時、パリの香水の香りがほんのり漂っていたのを今でも覚えています。
 レッスンでは、自分が弾いている音をしっかり聞くこと。
 力で弾くのではなく、音楽を奏でることを習いました。

 また、先生はどんな曲でもご自分で弾いてくださり手本を示してくださいました。
 先生がコンサートで披露されたラベル作曲「水の戯れ」は、それまで聞いたことがないような美しい響きで感動したことを覚えています。

 吉村先生も芝先生同様、フランス音楽の権威でとても厳しいレッスンでしたが、多くのこと教えていただきました。
 実は、私は大阪音楽大を希望していましたが、梅田先生は断固として大阪芸術大学に行くように指導されました。
 それは、この素晴らしい先生方につけていただくことになっていたのでしょう。
 先生の思いに心から感謝しています。

 残念に思うのは私の技術が足りず、二人のフランス音楽の巨匠に指導を受けながらもフランスの楽曲を学べなかった事です。

 大学では多くの声楽専攻生の伴奏を引き受け、そのうち私も声楽の魅力にはまっていきました。
 伴奏に行くとご飯を食べさせてくれる事が多く、その点も積極的に伴奏を行った理由の一つです。
 大学でレッスンする事は殆どなく、先生のご自宅が多かったのですが、男性の私は練習を最後にされる場合が多く、その間皆さんの演奏を聞けることが凄く勉強にもなりました。